この記事では、損切りの大切さと重要な意味、そして的確な損切りの設定について解説していきたいと思います。
FXをやっている人は、損切りが大切なことはよくわかっていると思います。しかし、頭ではわかっていても損切りできないという人が多いのではないでしょうか。それは、損切りの重要性を全く理解していないことや、どこに設定したらいいのかわからないなど、覚えなければいけない知識、スキルが足りていないのだと思います。
この章で基本的な損切りの知識はしっかり身につけましょう。
さらに、なんとなく損切りを入れていた人必見です。損切りには、とても重要な意味が存在します。この章を読んで、なぜ損切りを入れるのかしっかり学んでほしいと思います。
長期的に勝ち続けるには損切りは大事だからしっかりマスターしよう!
損切りの大切さ
損切りとは?
損失を抱えている状態で、保有しているポジションを解消し損失を確定すること。ロスカットやストップロスともいう。
みなさん、損切りはちゃんと入れているでしょうか?
なんとなく「もう怖いから損切り」とか、「損切りしたほうがいいよね?」のように感覚でやっている人いるのではないでしょうか。損切りはとても大事です。損切りのことはいろいろな本にも書いてあるし、ネットで調べてみても『損切りは入れましょう』と書いてあります。
トレーダーなら誰だって知ってます。
ではなぜ損切りを入れなければいけないのでしょう?
もちろんお金を守るためです。
当然相場の先のことは誰にもわからず、何が起きるか分かりません。
なので、急な価格変動が起きたとしてもお金を守るために損切りを設定しておくのです。
ではチャートを見てみましょう。
大きく下落をして75SMA(緑色のMA)を下抜けました。
20SMA(青色のMA)が横ばいになってきて高値を切り下げてきたので、直近の安値を割ったあたりから売りエントリーを仕掛けました。損切りは直近の高値です。
しかし、思ったよりも下がらず損切りラインを上抜けてしまい、上昇していきました。
このように分析した結果エントリーしたが、逆行してしまうということは先がわからない以上頻繁に起こりえます。いくら適切なエントリーをしたとしても、絶対にそちら側に伸びてくれるという保証はありません。リーマンショックのような大暴落だってあり得ます。
このように損切りできなければお金はあっという間に無くなってしまいます。
相場に絶対がない以上、必ず損切りを設定しましょう。
自分の大事なお金は自分でちゃんと守らないとダメだよぉ~。
間違った損切りの設定法とその理由
損切りの大切さはわかりました。では、どこに損切りを設定したらよいのでしょう。
損切りの方法には様々あり、本やネットでいろいろ紹介しています。ただ中には、「それで大丈夫なの?」と思うものや、「どこに根拠があるの?」というものまであり、初心者トレーダーは惑わされてしまいます。
中でも、代表的な間違った損切りの方法とその理由を紹介してみたいと思います。
- 固定pipsの損切り
- リスクリワード比率による損切り
固定pipsの損切り
ネットの情報でよく聞く固定pipsの損切りがあります。
これはどういうものかチャートで見てみましょう。これはポンド円のチャートです。
安値を切り上げて高値を更新したので181.160あたりでエントリーしました。
損切りは20pips固定とし、180.960あたりに設定しておきました。
順調に上がっていきましたが、急な乱高下があり長い下ひげをつけ損切りに引っかかってしまいました。
そのあとは、直近の安値を割ることなく上昇していきました。
このように相場の状況、ボラティリティによって値動きが大きくなったりします。引っかからない時もあれば、引っかかる時もあるでは、やはり固定pipsは何の根拠もなく、再現性がありません。「もっと広くすればいいんじゃない?」と思う人もいるかもしれませんが、何があるかわからない相場でリスクの取り過ぎは危険すぎます。
固定pips損切りは理にかなっていない方法ですねぇ~。
リスクリワード比率による損切り
では次にリスクリワード比率によって損切り設定をする方法を見ていきたいと思います。このチャートはポンドドルです。
典型的なレンジ相場です。上位足でも認識できるダブルボトムをつけてきて、安値を切り上げながら75SMAも上抜けてきました。20SMAも水平になってきたので、直近の高値を抜けて1.20490でエントリーしました。
目標値はレンジ内の高値1.21400なので、損切りはリスクリワード比率1:1とすることとし、1.19580に設定しました。
エントリーはしたものの、長いひげをつけて下がっていき、結局暴落して損切りにあってしまいました。
この損切り方法に関しても、結局利確の目標値も自分の期待でしかなく、そこまでいくかどうかは分かりません。よって、損切り位置も1:1なら大丈夫とも言えるわけもない根拠のない損切り法です。やはり、自分の期待を相場に入れること自体がナンセンスで、理にかなったものでないと再現性がありません。
相場の先はわからないが大前提、予想ではなく理にかなった方法を選択しないとねぇ~。
損切りの重要な意味と設定の注意点
固定pips損切りやリスクリワード比率損切りのように、その値に何の根拠もないやり方では次のトレードに活かすための再現性がありません。
では、なぜこのような損切り法をしてしまうのか?やはり損切りに対しての理解ができていないこと、なぜそこに設定するのかわかっていないことが挙げられます。まずは、損切りの知識を深め、なぜそこに設定するのか自分で考えることができるスキルを身につけていきましょう。
損切りの優位性
テクニカル分析とは、チャートを見て分析思考し、根拠を言語化して最適解を導き出すものです。損切りも、このテクニカル分析に含まれるものです。
「損切り幅は20pipsでいいや」のように適当に損切りを入れるのは、テクニカル分析をしていることにはなりません。
損切りの技術は、テクニカル分析の中で一番簡単だと私は思っていて、エントリーするところが決まったら自ずと設定するべき損切りポイントが決まるからです。
利益確定は未来のことなので、どこまで伸びるかは誰にもわからず、非常に難しいです。しかし、損切りに関しては過去のチャートから決めることができるので、これはある意味、優位性なのだと思います。
損切りの重要な意味
損切りは、損失を限定するためだけに入れると思っている人が多いのではないでしょうか?当然それは間違いありません。しかし、何でもかんでも損切りしていたら損切り貧乏になってしまいます。
そうならないためにはどうするか?損切りに対しての考え方、捉え方、見方をちょっと変えてみましょう。
まずは、損切りは絶対に引っかかってはいけないものと考えてください。すると絶対に越えてはいけない水平ラインを見つけなければいけません。そこに損切りを設定するわけです。なので、その水平ラインを超えた瞬間にあなたは負けです。
ということは、損切りラインとは絶対に越えてはいけないラインなのです。なので、損切りに対して適当に考えてはダメなのです。
損切り設定の注意点
引っかからない損切りラインを見つけるために、注意しなけれがいけないことがあります。
まずは、そのラインを超えてしまったら持ち続ける意味があるのかということです。エントリーしたが、思惑と逆方向に行ってしまったということはよくあると思います。しかし、もう一度反発する可能性があるならば、持ち続けなければいけないし、このまま逆行するのであれば損切らないといけません。
これを適当に損切りをしていると、持ち続けるのか判断ができるわけもないし、再現性がありません。なので、まずどこに損切りを入れるのか考えましょう。
結論はトレンドが終了するポイントです。エントリーはトレンドが始まる付近でします。ということは、トレンドが終わったら損切りしないといけません。
この図のように、ここを割ったらトレンドが終わるというポイントが重要だということです。
では実際にチャートで見てみましょう。固定pipsとリスクリワードの損切りで使ったチャートで説明します。
安値を切り上げ、20SMAを上抜けました。75SMAも水平になってきたので、高値更新で買いエントリーを入れました。
損切りは、直近の安値に入れました。順調に上がっていきましたが、急激な値動きがあり長いひげをつけました。しかし、直近の安値を割ることはなくもう一度上昇していきました。
このように、固定pipsではなく直近の安値に入れるのが正解です。このチャートは「たまたまうまくいったんでしょ」と思うかもしれません。しかし、直近の安値を割るということは、上の図でいうところのトレンドが終了するということを言っているのです。
また、直近の安値の下には、注文が集中していることからさらに下抜ける可能性がある以上、やはりここで損切りをしないといけないのです。
注文の集中についてはこちら
では、次のチャートでも見てみましょう。
レンジ相場の中の押し目を取りに行きました。
安値を切り上げて75SMAも上抜けてきたので、直近の安値切り上げ、高値更新でエントリーしました。
しかし、長いひげをつけただけでそのまま下落していき損切りに引っかかってしまいました。リスクリワード比率の損切りよりも、損失を小さくすることができました。よく見るとダブルトップに見え、ネックラインを割れば下向きが確定してしまうので、損切りするポイントとしては間違いはなかったでしょう。
このように、直近の安値(高値)に損切りを入れるやり方が一番理にかなっていて、根拠があります。
安値のラインを割ってしまうことでトレンドが崩れてしまいます。トレンドのない状態でポジションを持ち続けても、意味がないということです。
正しい損切りの設定方法
では、どの高安値でもいいのかというと、そうではありません。当然、理にかなったやり方でないと意味がありません。
損切りのラインを設定するときに、大切なことがいくつかあるので紹介したいと思います。
- あなたが見ている時間足の押し安値(戻り高値)か?
- 上位足でも認識できるぐらいの安値か?
- そのラインは過去にも意識された節目のラインか?
- 移動平均線に支えられているか?
- 上位足の移動平均線に逆らっていないか?
それでは、一つずつ説明していきましょう。
見ている時間足の押し安値(戻り高値)か?
みなさん、押し安値や戻り高値を意識していますか?
ダウ理論を理解するうえで、非常に重要な考え方で、損切りを設定するときも当然意識しなければいけません。
ダウ理論についてはこちら
押し安値は上昇トレンドが発生したときにできる直近の安値を言います。
ただ安値はたくさんあるので、どこが押し安値なのかというのを理解する必要があります。(下降トレンドの場合は戻り高値)
トレンドが発生したことによって、押し安値を割らない限りはトレンドが続いた状態です。
その安値を割ることでトレンドが終了してしまうのでそこに損切りラインを入れましょうということです。持ち続ける意味がありません。
そして、あなたがトレードしている時間足の押し安値に損切りラインを設定しましょう。1時間足でトレードしようというのに5分足の押し安値に損切りラインを入れていたら駄目だということです。
上位足でも認識できるぐらいの安値(高値)か?
基本的には自分がトレードする時間足の安値に入れるのが基本です。
しかし、1つ上の足でも認識できるくらいの安値に入れるほうが好ましいのです。チャートを見てみましょう。
15分足でトレードしているとしましょう。安値を切り上げて高値を超えました。
この時の1時間足ではどうでしょうか?
1時間足でも認識できるくらいの安値ならば、1時間足を見ている人も意識するということなので、そのラインまで下がったとしても、そこから買われて再度上昇していく可能性が高いんです。
なので、上位足でも視覚で認識できるくらいの安値に損切りラインを設定することを意識しましょう。
そのラインは過去にも意識された節目のラインか?
普段水平ラインをチャートに表示していますか?
水平ラインは非常に重要なもので、みんなが意識している節目になるものです。損切りでも、この意識される節目のラインが大切になってきます。
水平ラインについてはこちら
過去に何度もレジスタンスされたり、サポートされたりしているラインというのは、何度も何度も意識されます。
ということは、損切りのラインとして設定するにはうってつけの場所になります。なのでかなり固いラインになるのでこういった節目のラインを意識して損切りを設定しましょう。
移動平均線に支えられているか?
じつは、移動平均線も損切りを設定するうえで大事な指標になってきます。レートは、グランビルの法則に則って動きます。
なので、ある程度標準的な期間設定の移動平均線を意識することが大切になってきます。
グランビルの法則についてはこちら
グランビルの法則に則って説明すれば、少し上向きの移動平均線にレートが戻ってきたとしても、また跳ね返される可能性が高いです。
なので、この移動平均線の向きというのはすごく重要なのです。ただ、みんなが見ている移動平均線というのは、設定値がそれぞれ違って、どの設定値が意識されるのかははっきり言って主観が入ります。
しかし、よく使われる設定値ならば意識されやすいので、20SMAを支えとするのが良いと思います。
上位足の移動平均線に逆らっていないか?
移動平均線は、中期、長期も表示すると思います。できる限り、この移動平均線にも逆らわないということが重要になってきます。
要は、上位足を見た時の20SMAに逆らっていない、トレンド方向であるということが大切だということです。
マルチタイムフレーム分析についてはこちら
単純なことを言えば、上位足の移動平均線に逆らったトレードは逆行しやすいということなんです。
上位足の移動平均線の方向にポジションを取っておけば逆行しにくいので、損切りのラインとしては効きやすいということです。
いかがでしょうか。部分部分の説明だったので、これらを踏まえた損切りのラインの例を見てみましょう。
5つのことを意識したことで、適切な損切りのラインを設定することできました。
ということは、言い換えればこのラインを見つけることさえできれば、負けにくいポイントでエントリーできるということです。
まとめ【損切りの大切さと重要な意味】
この章では損切りについて学んできました。
損切りは、相場から退場せずに生き残るための、必須のスキルです。
ほとんどの人が損切りというのを軽く考えていると思いますが、エントリーよりもまずは損切りを一番に考えないといけません。「ここは逆行しないか?」「みんな意識しているラインか?」など負けないための損切り設定をしなければいけません。
この章は、勝ち続けるためには非常に大事です。何度も何度も読み直して、自分の中で損切りに対する認識を変え、正しい損切りの技術を身につけていきましょう。