【逆算】上位足でシナリオを作り下位足でタイミングを計る/MTF分析を「型」にする具体的な手順

上位足から見るのが大事、というのは何度も聞いてきました。実際に日足も4時間足も開いています。でも、見たあとに何をすればいいのかがわからないんです。結局そのあと5分足に戻って、いつも通りのエントリーをしてしまいます…

MTF分析でつまずく人のほとんどは、上位足を見ていないわけではありません。ちゃんと開いています。それでも結果が変わらないのは、見たあとに何を決めるのかが決まっていないからなんです。見ることと、決めることは別の作業です。

上位足の役割は「シナリオを作ること」、下位足の役割は「タイミングを計ること」。この分担がはっきりすると、チャートの前でやることが一気に減ります。この記事では、上位足で何を決めて何を決めないのか、下位足では何を待つのか、そしてその一連の流れをどうやって毎回同じ手順に落とし込むのかを、具体的な手順としてお話ししていきます。読み終わるころには、明日のチャートで何から始めればいいかがはっきりしているはずです。

この記事でわかること

  • 上位足で決めるべきことと、決めてはいけないことの線引き
  • シナリオを1枚に書き出すための具体的なテンプレート
  • シナリオが崩れたときに、型を壊さず立て直す手順
目次

「上位足を見ている」のに結果が変わらない理由

日足を開く、4時間足を開く、それから5分足に戻る。ここまでは多くの人がやっています。ところが実際のエントリーを見てみると、上位足を開く前とまったく同じ判断をしていることが少なくありません。

理由ははっきりしています。上位足を見た結果が、何ひとつ言葉になっていないからです。頭の中に「なんとなく上っぽい」という印象だけが残り、その印象は5分足の値動きを見た瞬間に上書きされてしまいます。

上位足を見ても判断が変わらない3つの原因

見た結果を言葉にしていない。「上目線」という印象だけでは、下位足で反対方向のきれいな形が出たときに簡単にひっくり返る

見る目的が決まっていない。何を確認するために開いたのかが曖昧なので、目に入ったものすべてが判断材料になってしまう

見る順番が毎回変わる。今日は日足から、明日は1時間足から。順番が変わると、結論も変わる

とくに①が根っこにあります。印象は記憶に残りません。言葉にしていないものは、5分後には消えていると考えたほうがいいくらいです。だから多くの人が、毎回チャートを開くたびにゼロから相場を判断し直すことになります。

ここを解決するのがシナリオです。シナリオとは、上位足を見た結果を「次にこうなったらこうする」という形で書き残したもののことです。書いてあれば消えません。消えなければ、下位足の値動きに引っ張られなくなります。

②と③も、突き詰めれば同じところに行き着きます。目的が決まっていないから見るものが毎回変わり、順番が決まっていないから結論も毎回変わる。つまりこれは記憶力の問題でも相場観の問題でもなく、手順が決まっていないだけの話なんです。手順の話であれば、今日から直せます。

上位足を見る習慣まではたどり着いている人が多いんです。あと一歩足りないのは、見た結果を残すという作業だけなんですよ。

シナリオとは何か——上位足が答えるべき3つの問い

シナリオという言葉は便利ですが、そのぶん人によって中身がバラバラです。ここでは定義をはっきりさせておきます。

トレードにおける「シナリオ」とは?

上位足の状況をもとに、「今の相場はどういう状態か」「どこまで来たら参加するか」「どうなったらこの想定は間違いか」の3つを、あらかじめ言葉にしたものです。予想ではありません。予想は当てにいくものですが、シナリオは当たっても外れても次の行動が決まっている点が違います。相場がどちらに動いても、自分が何をするかが先に決まっている状態を作るための道具です。

予想とシナリオの違いは、外れたときにわかります。予想が外れた人は固まります。シナリオが外れた人は、あらかじめ決めておいた通りに手を引くだけです。外れることを最初から織り込んでいるかどうかが、両者の決定的な差なんです。

そしてこの3つの問いは、すべて上位足で答えられます。逆に言えば、上位足で答えられないことをシナリオに書く必要はありません。

1
今どういう相場か
上位足で高値・安値が切り上がっているのか、切り下がっているのか、それともどちらでもないのか。ここは事実として確認できることだけを書く
2
どこまで来たら参加するか
注文が集まりやすい価格帯を先に特定しておく。過去に何度も反応した水平ライン、直近の押し安値・戻り高値、キリのいい価格。ここに来るまでは何もしないと決める
3
どうなったら間違いか
想定が崩れたと判断する価格を決めておく。ここを超えたらシナリオは終わり、という線を先に引いておく

3つ目を書ける人は多くありません。でもここが抜けていると、シナリオはただの願望になります。終わりを決めていないシナリオは、いつまでも終わらないからです。含み損が膨らんでも「まだ戻るかもしれない」と言い続けられてしまいます。

上位足でやること・やらないことをはっきり分ける

シナリオを作る場所は上位足です。ただし、上位足で「やらないこと」も同じくらい大事になります。

上位足でやらないこと

エントリーのタイミングを決めない。ローソク足1本ごとの動きを追わない。「そろそろ来そう」という感覚で予定を前倒ししない

上位足でやること

相場の方向を事実として確認する。注文が集まりやすい価格帯を特定する。想定が崩れる価格を決める。この3つだけを言葉にして書き出す

上位足でタイミングまで決めようとすると、たいてい早すぎるエントリーになります。日足の1本は、実際には24時間分の値動きが詰まった結果です。その中には何度も上下があり、決めた価格に届く前に一度反対方向へ振られることも珍しくありません。

つまり上位足は「どこで戦うか」を決める地図であって、「いつ引き金を引くか」を決める時計ではないんです。地図と時計を同じ道具でやろうとすると、どちらも中途半端になります。

💡 補足

上位足を見る時間帯も固定してしまうと、さらに安定します。相場が動いている最中に上位足を見ると、目の前の値動きに引っ張られた読み方になりがちです。取引が始まる前や、終わったあとの静かな時間に確認するのがおすすめです。

もうひとつ、上位足で確認するのは「事実」だけにしてください。高値が切り上がっている、この価格で3回止まっている。これらは誰が見ても同じように確認できる事実です。一方で「そろそろ反転しそう」は事実ではなく解釈です。シナリオには事実だけを書き、解釈は書かない。これだけで、あとから読み返したときの精度がまったく変わります。

事実だけを書くと、シナリオはかなり素っ気ないものになります。「日足で高値・安値ともに切り上がっている。直近の押し安値は◯◯円」。たったこれだけです。物足りなく感じるかもしれませんが、素っ気なくていいんです。あとから読み返したときに、書いた本人が言い訳できない文になっていることのほうが、はるかに価値があります。

言われてみると、私がメモしていたのは全部「解釈」のほうでした。上がりそう、そろそろ落ちそう。あれでは何も残らないですね…

下位足の役割は「探すこと」ではなく「待つこと」

上位足でシナリオができたら、次は下位足です。ここで多くの人が間違えるのが、下位足を「エントリーポイントを探す場所」だと思ってしまうことなんです。

探しに行けば、必ず見つかります。5分足を10分も眺めていれば、それらしい形はいくらでも出てきます。でもそれは、シナリオとは無関係に出てきた形です。

📝 WAKAの体験談

FXを始めた当時、私はペンションを経営していました。朝から夜まで宿の仕事があって、チャートの前にいられる時間は限られています。当時はそれが不利だと思っていました。ずっと相場を見ていられる人がうらやましかったんです。ところが結果を振り返ってみると、時間がなかった時期のほうが余計なトレードが少なかった。理由は単純で、見られないぶん、前の晩に「明日はここまで来たら見る」と決めておくしかなかったからです。時間がないことが、先に決めるという習慣を無理やり作ってくれていました。

探しに行くと、相場のほうが自分に合わせてくれているように見えてきます。でも実際は、自分が見たいものを見つけているだけなんです。

下位足の正しい役割は、シナリオで決めた価格帯に相場が到着したときに、「本当にそこで反応しているか」を確認することです。到着していないなら、下位足は開く必要すらありません。

下位足でやることを3つに固定する

シナリオで決めた価格帯に来ているかを確認する。来ていなければそこで終了。チャートを閉じる

来ていたら、その価格帯で反応が出ているかを見る。止まっているのか、そのまま抜けていくのか。抜けたなら見送る

反応を確認できたら、決めておいた損切り位置から逆算してロットを出す。ここで初めて注文を出す

この順番だと、判断が上から下へ一方向に流れます。逆に、下位足の形を先に見つけてから上位足で理由を探す流れになると、後づけの根拠をいくらでも作れてしまうんです。順番が逆になった時点で、その日のトレードはもう型から外れています。

どの時間軸を組み合わせるか——3〜6倍でそろえる考え方

では実際に、どの時間軸を組み合わせればいいのか。ここは自分の生活時間で決めるところですが、選び方には目安があります。

地図
上位足|相場の方向を決める
距離感
中間足|戦う場所を絞る
時計
下位足|入る瞬間を計る

3つの役割を、時間軸の間隔が3〜6倍になるように割り当てます。たとえば日足・4時間足・1時間足なら、6倍と4倍。4時間足・1時間足・15分足なら、4倍と4倍。この間隔だと、上の足の1本が下の足の数本分におさまるので、話がつながりやすくなります。

間隔が近すぎると、たとえば1時間足と30分足のように、ほとんど同じ形が見えてしまいます。役割が分かれません。逆に離れすぎると、週足と5分足のように、上で決めた価格帯に届くまで何日もかかることになります。

01
上位足でシナリオを作る方向・参加する価格帯・崩れる価格の3つを書き出す。ここは取引時間外に行う
02
中間足で待機条件を確認する決めた価格帯に近づいているかを確認する。遠いならこの日は終了
03
下位足でタイミングを計る到着後の反応を確認してから、損切り位置を基準にロットを決めて注文する

この3ステップは、慣れれば10分もかかりません。時間がかかるのは01だけで、02と03は確認作業だからです。毎日ゼロから相場を読むのではなく、書いたものを確認しに行くだけになるので、判断に使う体力がまるで違います。

生活時間との相性も先に考えてください。夜しかチャートを見られないなら、日足でシナリオを作って1時間足で待つ組み合わせのほうが現実的です。5分足で計るスタイルは、その時間に必ず机の前にいられる人向けです。

そして一度決めたら、しばらく変えないでください。うまくいかない日が続くと、時間軸のせいにして組み合わせを変えたくなります。でも組み合わせを変えると、それまで積み上げた記録が比べられなくなります。条件を変えるたびに、経験が最初からやり直しになるんです。少なくとも20回から30回は同じ組み合わせで続けて、それでも合わないと判断できたときに初めて動かす。この順番を守るだけで、遠回りがかなり減ります。

シナリオを1枚に書く——MTFを型にするテンプレート

ここまでの内容を、毎回同じ形で書けるようにします。型にするというのは、同じ紙に同じ順番で書き続けるということでもあります。

シナリオシートに書く5項目

通貨ペアと日付
上位足の状態(切り上げ/切り下げ/どちらでもない)を事実で1行
参加する価格帯(この価格まで来たら見る)
想定が崩れる価格(ここを超えたら終わり)
この日にやらないこと(指標発表前後・体調が悪い日など)

5項目だけです。多すぎると続きません。1日1枚、通貨ペアが複数あるなら通貨ペアごとに1枚。手書きでもメモアプリでも構いませんが、あとから見返せる形で残してください。

大事なのは書式をそろえることです。書式が同じだと、1週間分を並べたときに比べられます。比べられる記録だけが、あとで自分に何かを教えてくれるんです。

⚠️ 「シナリオ通りに入れなかった日」も必ず残す

入らなかった日は書くことがないと感じて、記録を飛ばしてしまいがちです。でも見送った日こそ、判断の質がいちばんよく出ます。「価格帯に来なかったので終了」と1行書くだけで構いません。この1行が積み上がると、自分がどれだけ待てているかが数字として見えてきます。逆にこの行がない週は、シナリオを作らずにトレードしていた週だということです。

書き続けると、そのうち自分の傾向が見えてきます。参加する価格帯を毎回近くに置きすぎているとか、崩れる価格を決めていない日ほど負けているとか。ここまで来ると、型が自分の言葉で更新できるようになります。

シナリオシートは、当てるために書くものではありません。あとで自分の判断を検証できるようにするために書くものです。当たった外れたを数えているうちは、記録はただの成績表で終わってしまいます。

シナリオが崩れたときにどう扱うか

最後に、いちばん実戦で問われる場面です。シナリオは崩れます。むしろ、崩れないシナリオのほうが珍しいくらいです。

崩れたときにやってはいけないのは、その場で新しいシナリオを作り直して、そのまま入り直すことです。相場は動いている最中で、自分は損失を出した直後。この状態で作った想定は、分析ではなく取り返したい気持ちが形を変えたものになりがちです。

シナリオが崩れたときの3手順

その日はいったん終了する。崩れた価格を記録して、チャートを閉じる

取引時間外に、なぜ崩れたのかを1行で書く。上位足の読み違いか、価格帯の設定が甘かったのか、そもそも参加すべきでない相場だったのか

翌日以降、新しいシナリオをゼロから作り直す。前日の続きとして考えない

②を書くために、①でいったん止まる必要があります。動いている相場を見ながらでは、冷静な理由づけはできません。

そして、崩れた回数そのものは気にしなくて大丈夫です。上位足の想定が外れること自体は、相場である以上あたりまえに起きます。問題になるのは、崩れたあとに手順を飛ばしたときだけなんです。

もうひとつ知っておいてほしいのは、「崩れた」と「届かなかった」はまったく別物だということです。決めた価格帯に相場が来ないまま一日が終わるのは、崩れたのではなく、単に自分の出番がなかっただけです。ここを混同すると、来なかった日にも何かしなければいけない気がしてきて、シナリオにない場所で無理に入ることになります。出番がなかった日は、待てた日として記録すればいいんです。

相場は毎日チャンスを配ってくれるわけではありません。注文が集まりやすい場所まで価格が来て、そこで反応が出て、はじめて自分の出番になります。その条件がそろわない日のほうが、実際には多いくらいです。

💬 WAKAの結論

シナリオが外れたことより、外れたあとに何をしたかのほうが、口座に残る影響ははるかに大きいです。手順を守れた日は、負けていても前に進んでいます。

型が壊れるのは、いつも決めていなかった場所からです。だからこそ、崩れたときの手順まで含めて、先に決めておく必要があります。

MTFを「型」にできていますか?

□ 上位足の状態を言葉で書いている → 印象ではなく1行の文にしている
□ 参加する価格帯を先に決めている → 到着していない日はチャートを閉じられる
□ 崩れる価格を決めている → シナリオの終わりが自分で言える
□ 下位足を「探す」のではなく「確認する」ために開いている → 順番が上から下になっている
□ 見送った日も1行記録している → 待てた日が記録として残っている

まとめ:見る順番ではなく、決める順番を型にする

MTF分析で変わるのは、チャートを開く順番ではありません。何を決めて、何を決めないかの分担です。

上位足でシナリオを作り、下位足ではタイミングだけを計る。シナリオに書くのは、相場の状態・参加する価格帯・崩れる価格の3つ。書式をそろえて残せば、比べられる記録になります。毎日ゼロから読むのをやめて、書いたものを確認しに行く形にする。これがMTFを型にするということです。崩れたときの手順まで先に決めておけば、外れた日も次につながります。

明日の分のシナリオを、5項目だけ今夜書いてみてください。型はそこから始まります。

上位足を見る習慣はもう持っているはずです。あとは、見た結果を1行残すだけ。それだけで、下位足に振り回される日は確実に減っていきます。

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