
「移動平均線って表示してるけど、正直なんとなく見てるだけで…どう使えばいいのかよくわかってないんですよね。」
移動平均線は、FXをやっている人ならほぼ全員が知っているし、ほとんどの人がチャートに表示しています。
でも、その意味や使い方を本当に理解して使っている人は少ないというのが実情だと思います。「なんとなく表示している」だけでは、移動平均線が持つ情報の大半を捨てているのと同じです。
この記事では、移動平均線の基本的な仕組みから、実際のトレードで使える3つの使い方まで順番に解説します。ここを理解するだけで、チャートの見え方は大きく変わってきます。
この記事でわかること
- 移動平均線の3種類(SMA・WMA・EMA)と基本の仕組み
- 移動平均線を表示する3つの意味(方向・エリア・転換の示唆)
- おすすめの設定値(20・75・200SMA)とその理由
- 短期と長期が対立しているときのトレードの考え方
- 移動平均線が水平になったときに気をつけること



移動平均線はFXの基本中の基本。なんとなく使うのと、意味を理解して使うのとでは、チャートの見え方がまったく変わってきます。しっかり身につけていきましょう。
移動平均線とは何か?3種類と基本の仕組み
移動平均線とは、「一定期間の終値を平均化してつないだ線」のことです。
レートは秒単位で変化するため、ローソク足だけを見ているとギザギザしていて今の相場がどういう状態なのか見にくい部分があります。それを平均化して、なるべく見やすくしようというのが移動平均線の目的です。
よく使われる移動平均線には3種類あります。
3種類の移動平均線
SMA単純移動平均線:設定した期間の終値を単純に平均化してつないだ線。最もオーソドックスで広く使われている。
WMA加重移動平均線:直近の価格に大きな重みをつけて計算する。5日設定なら直近を5倍、次を4倍…と計算するため、SMAより価格の動きに敏感に反応する。
EMA指数平滑移動平均線:直近の価格を2倍にして計算する。SMA・WMAより直近の値動きを最も重視するため、価格への反応が最も早い。


3種類それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分のトレードスタイルに合わせて選んで使うのが基本です。私自身は単純移動平均線(SMA)しか使ったことがないので、以下はSMAをベースに解説していきます。
実際にチャートで比べてみましょう。まずは移動平均線を何も表示していない状態です。


ローソク足だけだと、全体的に上がっているか下がっているかはわかるものの、今現在はどっちに向かっているのかが見にくいと感じませんか?
ここに1本の移動平均線を加えてみます。


移動平均線を1本入れるだけで、レートがどの方向に動いているかが格段に見やすくなります。移動平均線の近くをレートが動いていて、線が上がっているときはレートも上がっています。「今は下げ傾向だな」とひと目で確認できるようになります。
移動平均線の本質
ギザギザのローソク足を「平均値の線」に変換することで
相場の方向をひと目で把握できるようにするのが移動平均線の役割です。
移動平均線を表示する3つの意味
移動平均線でわかる3つのこと
- 現在の方向がわかる——移動平均線が向いている方向がエントリーすべき方向
- 買いか売りかエリアでわかる——レートが移動平均線の上か下かで買い優勢・売り優勢を判断
- トレンドの転換を示唆する——移動平均線が水平になったら転換の心構えができる


1つずつ詳しく解説していきます。
使い方① 現在の方向がわかる
移動平均線は「平均値をつないだ線」です。そのため、急激な値動きでもない限り、いきなり方向を変えることはありません。少しずつ横向きになり、少しずつ傾きをつけ、また少しずつ横向きに戻っていきます。
つまり、一度傾きがついた移動平均線は、滅多なことでは急に方向を変えないという性質があります。これが非常に重要なポイントです。


これは1時間足のチャートで、青線が20SMAです。20時間分の終値の平均値をつないで表示しています。
左のほうではレートがたまっていて移動平均線も横向きです。これは平均値が変わらず推移している状態——つまり買いも売りも拮抗していることを意味します。
安値を切り上げて高値を更新したあたりから、移動平均線が少しずつ上向きに傾き始めました。上向きになるということは、平均値が少しずつ上がっている——つまり買い注文がどんどん入っているということです。
完全に上向きになった後は、約120時間上がり続けました。移動平均線の向きを見るだけで「今は買いしか選択肢がない」という判断ができます。
次のチャートも見てください。


途中でローソク足が大きな陰線をつけています。しかし移動平均線は上向きのままです。平均値である以上、1本の陰線ごときでは方向が変わらない——これが移動平均線の強みです。
移動平均線が上向きのときに売ってはいけない理由
「そろそろ高止まりだろうから売れー!」という逆張りは、移動平均線の方向に逆らうことになります。どこまで伸びるかは誰にも予測できないので、移動平均線の向きに逆らったトレードは損切りになる可能性が高くなります。移動平均線の方向に逆らわないだけで、無駄なトレードを大幅に減らせます。
設定値は20・75・200SMAを使う理由
移動平均線の期間設定は自由に変えられます。短くすると傾きが早くつき、長くすると傾きがゆっくりになります。では、どの設定値を使えばいいのか?
おすすめの設定値:短期20SMA・中期75SMA・長期200SMA
理由は「多くのトレーダーが使っているから」です。
多くのトレーダーが同じ設定値を意識しているということは、その移動平均線に対して注文が集まりやすいということ。その優位性を利用しない手はありません。
この設定値は日足を基準に考えられたもので、20日は約1ヶ月分、75日は約3ヶ月分、200日は約1年分の相場の値動きの平均を表しています(相場が開いている日数ベース)。
どの時間足においても、この期間設定で有効に機能します。スマホでトレードする場合も、全時間足で同じ設定にしておくと管理が楽になります。



移動平均線の方向は必ず確認する習慣をつけてください。方向に逆らうトレードは勝率を下げるだけです。
使い方② 買いか売りかエリアでわかる
移動平均線は平均値をもとに描かれます。そのため、現在のレートが移動平均線より上にあるか下にあるかで、買いが優勢か売りが優勢かを判断できます。


移動平均線より上にレートが位置しているときは上昇しています。これは買いが強い状態です。
逆に移動平均線より下にレートが位置しているときは下降しています。売りが強い状態です。
さらに使い方①の「傾き」と組み合わせれば、移動平均線の向きを確認してからレートがどちらのエリアにあるかを見るだけで、買いか売りかをシンプルに判断できます。決済の判断にも使えます。「買っていたけど移動平均線より下に来たから決済しよう」という形です。
2本表示したときの考え方
移動平均線を2本表示したときはどうなるでしょうか。


短期の移動平均線を見ると上を向いていて、レートも移動平均線より上に位置しています。これだけ見ると買いを考えたいポイントです。
しかし、長期の移動平均線を見ると、レートが下に位置しています。これは売りが入ってきそうなポイントでもあります。
結果として、短期移動平均線を見て買ったトレーダーと長期移動平均線を見て売ったトレーダーが衝突し、移動平均線にタッチした瞬間に一気に下落しました。その後は上がったり下がったりを繰り返す方向感のない相場になっています。
このように短期と長期の移動平均線に挟まれたエリアでは、行ったり来たりと方向感がつかめなくなります。この状態で何度もエントリーすると、何度も損切りになり資金を失ってしまいます。
移動平均線に挟まれたエリアでトレードしてはいけない
短期移動平均線と長期移動平均線の間に挟まれているときは、買い勢力と売り勢力が拮抗しています。どちらにも動く可能性があるため、このエリアでのトレードは見合わせるのが正解です。
では、どのタイミングでエントリーを考えるのか。次のチャートを見てください。


エントリーを考えるタイミング
75SMAを明確に下抜けた後、戻り目をつけて20SMAも下抜けたときがトレードを考えるポイントです。
このポイントでは短期・長期ともにレートが移動平均線より下に揃っている状態になるため、急激に戻りにくくなります。落ち着いて利確を考えながらポジションを保有できます。
短期も長期も同じエリア(両方の移動平均線より上、または両方より下)に揃ったときがエントリーのチャンスです。



移動平均線が2本・3本になるとその分判断が複雑になります。2本表示から始めて、慣れてきたら3本に増やすという順番で練習してみてください。
使い方③ トレンドの転換を示唆する
移動平均線でわかることの3つ目が、トレンドの転換を「示唆する」という役割です。
ただし、これはあくまで「示唆」であって、転換の確定シグナルではありません。トレンドの転換はダウ理論(高値・安値の更新パターン)でしか確認できません。移動平均線はその心構えを教えてくれるツールとして使います。
どういう状態を「転換の示唆」と読むのかというと、移動平均線が水平になってきて、レートが移動平均線に絡みついてきた状態のことです。移動平均線が水平になるということは、平均値が変わらず推移している——つまりどちらにも動く可能性がある状態を意味します。


チャートを見ると、移動平均線が下向きの間はレートも下落しています。しかしだんだん移動平均線が水平になってきて、レートも横ばいになってきました。
そして、安値を切り上げて高値を更新したことで上昇トレンドに転換し、移動平均線とともにレートが上昇していきました。
移動平均線が水平になったときの対処法
移動平均線が水平になってきたら、「そろそろ転換するかもしれない」という心構えを持ちます。
この状態のときに「今まで下落トレンドだったから戻り売りだ」とトレードするのは危険です。水平になっている移動平均線は上にも下にも動く可能性を示しているため、一方向に決めつけてエントリーすると損切りになるリスクが高くなります。
水平のときはポジションを持たず、どちらの方向に動くか確認してからエントリーを検討するのが無難です。



「水平になったら転換確定」ではなく「転換するかもしれない」という示唆に過ぎません。転換の確定はダウ理論で確認してください。
まとめ:移動平均線の3つの使い方
あなたは移動平均線を正しく使えていますか?
この記事のポイント
- 移動平均線はギザギザのローソク足を平均化して、相場の方向を見やすくするツール
- 設定値は多くのトレーダーが使う20SMA・75SMA・200SMAがおすすめ
- 移動平均線の「傾き」でトレンドの方向がわかる。一度ついた傾きは急に変わらない
- レートが移動平均線より上なら買い優勢、下なら売り優勢。2本が対立するエリアはトレード不可
- 移動平均線が水平になってきたら転換の示唆。確定ではないが、一方向のポジションは危険
移動平均線を表示することにはちゃんとした意味があります。なんとなく表示しているだけでは、その情報のほとんどを捨てているのと同じです。
移動平均線の使い方を理解して、無駄なトレードを減らすことで成績は劇的に変わってきます。相場環境を確認するときは、必ず移動平均線の方向とエリアを意識する習慣をつけていきましょう。



過去のチャートで、移動平均線の向き・レートのエリア・水平になった場面を何度も確認してみてください。見れば見るほど理解が深まっていきます。









