【未知】トレードの「期待値」を計算したことがないトレーダーに伝えたいこと/数字にすると判断が変わる

勝ったり負けたりを繰り返してるけど、このトレードを続けていいのか自分でもわからないんです…

自分の手法の期待値を、電卓を叩いて出したことがあるトレーダーはほとんどいません。勝率なら「だいたい6割くらいかな」と答えられる人はいます。でも「1回のトレードで平均いくら増えるのか」と聞かれると、答えが出てこないんです。

答えられないということは、続けていいのか悪いのかを判断する材料を持っていないということです。これは怖いことなんですが、多くのトレーダーが気づかないまま何年も同じ場所をぐるぐる回っています。この記事では、期待値とは何なのか、どうやって計算するのか、そして計算した数字をどう読めばいいのかを、順番に全部お話しします。難しい数学の話は出てきません。必要なのは、自分の取引履歴と電卓だけです。

この記事でわかること

  • 期待値の正体と、勝率だけでは判断できない理由
  • 自分の手法の期待値を出すための具体的な計算手順
  • 出た数字がマイナスだったときに、どこから直せばいいのか
目次

期待値を計算したことがないトレーダーが、実はほとんど

FXを何年か続けている人に「あなたの手法の期待値はいくつですか」と聞くと、たいてい会話が止まります。勝率は答えられる。損切り幅も答えられる。でも、その2つを掛け合わせた先にある「1回あたりの平均収支」までたどり着いている人は、ほんの一握りなんです。

理由ははっきりしています。計算しなくてもトレードはできてしまうからです。口座にお金を入れて、チャートを開いて、ボタンを押せばポジションは持てます。期待値を知らなくてもエントリーは通る。だから誰も、わざわざ立ち止まって数字を出そうとしないんです。

でも、これは飲食店を開いて原価計算をしないまま営業しているのと同じ状態です。お客さんは来ている。レジにお金も入る。でも1皿売るごとに赤字だとしたら、忙しく働くほど資金は減っていきます。相場でもまったく同じことが起きます。トレード回数を増やすほど損失が積み上がる手法というのは、確かに存在するんです。

なぜ期待値を出さないまま続けてしまうのか

期待値を知らなくてもエントリー自体はできてしまうから、必要性を感じない

「今月はプラスだった」という直近の結果だけで、手法が正しいと錯覚してしまう

計算して悪い数字が出るのが怖い。無意識に確認を避けている

3つ目が一番やっかいです。人は自分が信じたいものを壊す情報を避けます。ずっと使ってきた手法の期待値がマイナスだと知ったら、これまでの努力が否定されたように感じてしまう。だから、なんとなく感覚のまま続けてしまうんです。

私も同じでした。陸上をやっていた頃、練習日誌はつけていたのに、記録の推移をきちんと並べて見返したことは長い間ありませんでした。毎日走っていれば速くなっているはずだと思い込んでいたんです。でも実際に数字を並べてみたら、伸びている時期と止まっている時期がはっきり分かれていた。しかも止まっていた時期のほうが、練習量は多かったんです。

📝 WAKAの体験談

数字を並べて初めて「量を増やす時期」と「やり方を変える時期」があることに気づきました。それまでの私は、結果が出ないときにひたすら量を足していた。方向を確認しないまま走り続けていたわけです。相場で期待値を出さずにトレード回数だけ増やしている人を見ると、当時の自分と重なります。

数字を見るのは怖い。でも見ないほうが、はるかに怖い結果になるんです

期待値とは何か──勝率だけでは判断できない理由

言葉は難しそうですが、中身はとてもシンプルです。期待値とは、そのトレードを同じ条件で何百回も繰り返したときに、1回あたり平均していくら増えるのか(減るのか)を表した数字のことです。

期待値とは?

期待値=(勝率×平均利益)−(負ける確率×平均損失)

たとえば勝率50%・平均利益2万円・平均損失1万円なら、(0.5×2万)−(0.5×1万)=5,000円。この手法は1回トレードするごとに、平均して5,000円増える計算になります。

ここで大事なのは、期待値がプラスでも1回1回の結果はバラバラだということです。5回連続で負けることもあれば、3回続けて勝つこともある。でも回数を重ねていけば、結果は少しずつこの平均値に近づいていきます。逆に期待値がマイナスなら、回数を重ねるほど確実に資金は減っていきます。

相場の世界には「絶対」がありません。だからこそ、1回の勝ち負けではなく、繰り返した先の平均で考える必要があるんです。ここがトレードと勝負事の決定的な違いだと思っています。

そして、この式を見てほしいのですが、勝率は4つある要素のうちのひとつでしかありません。「勝率が高い=いい手法」だと思っている人はとても多いのですが、同じ勝率でも利益と損失の大きさが違えば結果は真逆になります。

A(勝率70%だが期待値マイナス)

10回中7回勝って毎回5,000円の利益。3回負けて毎回2万円の損失。合計=3.5万−6万=マイナス2.5万円

B(勝率40%だが期待値プラス)

10回中4回勝って毎回3万円の利益。6回負けて毎回1万円の損失。合計=12万−6万=プラス6万円

数字にしてみると、勝率70%の手法のほうが資金を減らしていることがわかります。勝率を上げにいくと、多くの人は利益を早く確定するようになります。含み益が乗ったらすぐ利確する。すると勝率は上がるのに、1回の利益が小さくなりすぎて負けを取り返せなくなるんです。

これは大衆心理そのものです。人は利益が乗っているときは「なくなる前に確定したい」と感じ、損失が出ているときは「戻ってから切りたい」と感じます。この感情のままトレードすると、利益は小さく損失は大きくなる。勝率だけ見ていると、この歪みに気づけないんです。

勝率を上げようとしてたのに、それが原因で負けてたってことですか…?

期待値を出すために必要な4つの数字

計算に必要なものは4つだけです。難しい統計の知識も、専用のツールもいりません。自分の取引履歴を開いて、この4つを拾い出してください。

1
トレード回数
集計する期間の全トレード数。最低でも30回、できれば50回以上あると数字が安定します
2
勝ちトレードの数
利益で終わったトレードの数。これを総回数で割ると勝率が出ます
3
平均利益
勝ちトレードの利益をすべて足して、勝ちトレード数で割った金額
4
平均損失
負けトレードの損失をすべて足して、負けトレード数で割った金額

ポイントは、勝ったトレードと負けたトレードを分けて平均を出すことです。ここを混ぜてしまうと、何を直せばいいのかが見えなくなります。勝ちの平均が小さいのか、負けの平均が大きいのか、それとも勝率そのものが低いのか。分けて出すからこそ、原因の場所が特定できるんです。

集計期間は直近3ヶ月分を目安にしてください。それより古いデータを混ぜると、当時の相場環境と今の相場環境が違いすぎて数字がぼやけます。相場は変わり続けるので、期待値も定期的に出し直すものだと考えたほうが正確です。

もうひとつ意識してほしいのが、金額ではなく「損切り何回分か」で見る方法です。平均利益が2万円で平均損失が1万円なら、利益は損失2回分。この見方に慣れると、ロット数を変えても手法の実力を同じ物差しで比べられるようになります。口座が大きくなっても小さくなっても、判断の基準がぶれなくなるんです。

⚠️ 注意してほしいこと

30回に満たないデータで出した期待値は、まだ手法の実力を表していません。たまたま大きく勝った1回、たまたま大きく負けた1回に数字が引っ張られます。回数が少ないうちは「参考値」として扱い、判断の根拠にしないでください。

実際に計算してみる──手を動かすと見えてくるもの

言葉で理解するのと、自分の口座の数字で計算するのはまったく別物です。ここでは実際の手順を追ってみます。電卓かスプレッドシートを用意して、一緒に進めてみてください。

01
履歴を書き出す直近3ヶ月の全トレードを、日付・通貨ペア・損益の3項目だけ書き出す
02
勝ち負けで仕分けるプラスで終わったものとマイナスで終わったものを2つのグループに分ける
03
それぞれの平均を出す勝ちグループの合計÷勝ち数、負けグループの合計÷負け数を計算する
04
式に当てはめる(勝率×平均利益)−(負け率×平均損失)を計算して1回あたりの金額を出す

たとえば直近3ヶ月で40回トレードして、勝ちが18回・負けが22回だったとします。勝率は45%です。勝ちの合計が36万円なら平均利益は2万円、負けの合計が22万円なら平均損失は1万円。これを式に入れると、(0.45×2万)−(0.55×1万)=9,000円−5,500円=3,500円になります。

この手法は勝率45%でも、1回トレードするごとに平均3,500円増えている計算です。40回で14万円。数字が出た瞬間、「負け越しているのに増えている」という感覚のズレが腑に落ちるはずです。

45%
勝率
3,500円
1回あたりの期待値
14万円
40回分の合計

逆のパターンも見ておきましょう。勝率60%でも、平均利益8,000円・平均損失1万5,000円なら、(0.6×8,000)−(0.4×1万5,000)=4,800円−6,000円=マイナス1,200円です。勝ち越しているのに、続けるほど資金が減る手法ということになります。

期待値がマイナスだったときに見直す順番

計算してマイナスが出ても、落ち込む必要はありません。むしろ、これまで見えなかった問題が数字として目の前に出てきたわけですから、ここからが本当のスタートです。ただし、直す順番を間違えると遠回りになります。

期待値を改善するための見直し順序

平均損失から見直す。損切りが遅れている・損切りを外したトレードがないかを確認する

次に平均利益を見る。利益確定が早すぎないか、伸ばせた場面で切っていないかを確認する

最後に勝率を見る。エントリー根拠が曖昧なトレードを外すと、回数は減るが勝率は上がる

最初に手をつけるべきは、いつも平均損失です。理由はシンプルで、損失は自分でコントロールできるからです。利益がどこまで伸びるかは相場が決めますが、どこで損切るかは自分が決められます。コントロールできるところから直すのが鉄則なんです。

平均損失が大きくなる原因はほぼ決まっています。損切りラインに近づいたときに「もう少し待てば戻るかもしれない」と感じて動かしてしまう。あるいは最初から損切りを置いていない。この2つで、平均損失は簡単に倍になります。

逆に、多くの人が最初に手をつけたがるのが勝率です。「もっと勝てる手法を探そう」と考えてしまう。でも手法を変えても、損切りをずらす癖が残っていれば平均損失は同じです。手法を変えて解決したつもりになるのが、一番よくある遠回りなんです。

数字が悪いときほど、直す場所は自分の中にあります。手法の外に答えを探しに行かないでください

期待値は「1回のトレード」には現れない

ここが一番誤解されやすいところです。期待値がプラスの手法を使っても、次の1回が勝つとは限りません。5連敗することもあります。それでも期待値がプラスなら、回数を重ねた先で資金は増えていきます。

コインを100回投げれば表がだいたい50回出ますが、5回だけ投げたら表が0回のこともあります。相場もこれと同じで、期待値は回数を重ねて初めて姿を現す数字なんです。

だからこそ、期待値を知っているトレーダーは連敗しても手法を変えません。連敗は想定内の出来事だからです。逆に期待値を知らないトレーダーは、3連敗しただけで「この手法はダメだ」と判断して次を探しに行ってしまう。聖杯探しが終わらない本当の理由はここにあります。

この違いは、相場に対する姿勢そのものを変えます。期待値がプラスだと確認できていれば、負けたトレードも「必要な経費」として処理できます。飲食店で仕入れた食材が一部余るのと同じで、想定内のコストです。ところが確認していないと、1回の負けが「間違い」に見えてしまう。そして間違いを正そうとして、次のトレードでルールを変えてしまうんです。ルールを変えた瞬間、それまでのデータは意味を失います。同じ条件で繰り返していないものは、平均に近づいていかないからです。

覚えておいてほしいこと

連敗は手法が壊れたサインではありません。期待値がプラスの手法でも、連敗は必ず起こります。判断すべきは1回の結果ではなく、30回・50回を重ねた後の数字です。

ただし、無条件に続けていいわけでもありません。相場環境が変わって手法が機能しなくなることは実際にあります。だから定期的に期待値を出し直して、数字が下がり続けているかどうかを見る。感情ではなく数字で判断するための基準として使うんです。

期待値を知ったトレーダーは、何が変わるのか

期待値を計算できるようになると、日々のトレードの見え方が変わります。一番大きいのは、1回の負けに心が持っていかれなくなることです。

負けたときに「今日はマイナスだった」ではなく「50回のうちの1回が想定通りマイナスで終わった」と捉えられるようになります。同じ出来事なのに、受け取り方がまったく変わる。この違いが、次のトレードの質を決めます。

Before(期待値を知らない頃)

1回の勝ち負けで気分が上下する。連敗すると手法を疑い、勝つと調子に乗ってロットを上げる

After(期待値を出した後)

1回の結果は想定の範囲内として処理できる。判断の対象が「今日」ではなく「直近50回」に変わる

もうひとつ変わるのが、エントリーを見送れるようになることです。期待値を出すと「どういう場面で勝てていて、どういう場面で負けているか」が数字で見えてきます。負けているパターンが特定できれば、そこを外すだけで期待値は上がる。エントリーを減らすことが改善につながると、頭ではなく数字で理解できるんです。

💬 WAKAの結論

相場は確率の世界です。だからこそ、確率を数字で扱えるトレーダーだけが、迷わずに同じ判断を繰り返せるようになります。

必要なのは新しい手法でも高性能なツールでもなく、自分の履歴と電卓だけです。最後に、今日から始められることを確認してみてください。

今日から始められること、いくつありますか?

□ 直近3ヶ月の取引履歴を書き出した → まずは日付・損益の2列だけでいい
□ 勝ちトレードと負けトレードを分けて平均を出した → 混ぜずに分けるのがポイント
□ 期待値の式に当てはめて1回あたりの金額を出した → プラスかマイナスかを確認する
□ マイナスなら平均損失から見直した → 手法を変える前に損切りを確認する

まとめ:数字にした瞬間、続けるかどうかを自分で決められる

期待値とは、そのトレードを繰り返したときに1回あたり平均いくら増えるかを表した数字です。勝率が高くても、利益が小さく損失が大きければ資金は減っていきます。必要なのは、トレード回数・勝ち数・平均利益・平均損失の4つだけ。マイナスが出たら、手法ではなく平均損失から順番に見直すのが最短ルートです。1回の結果ではなく、繰り返した先の平均で判断する。それができるようになると、相場との向き合い方が根本から変わります。

今日、電卓を1回叩くだけで、あなたのトレードは「なんとなく」から抜け出せます。

数字は嘘をつきません。怖くても一度出してみてください。そこからが本当のスタートです

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